電源コンディショナー
ISOTEK V5 AQUARIUS 税込¥528,000(価格は2025年3月現在)
カラーは(BLACK)と(SILVER)
〈寸評〉
〇みずみずしい音がストレスなく出てくる
〇音色のちがいが明らかになって、各楽器の個性がよく出るようになる
〇音像のざらつきやぎらつきが洗い流される
音像を丸ごと水洗いしたかのような感触です。
ホコリをかぶった車体が、洗車機できれいに洗いあげられ本来の輝きを取り戻すように、ノイズを拭われ、音源の持つ鮮やかな音色をよみがえらせるのはV5 AQUARIUSの最大の特徴です。
もう一点あげるなら、スピーカーからの音離れが良くなることでしょうか。生き生きとした音がスピーカーの前面に展開されます。外してしまうと、全体がのっぺりとスピーカーの間の空間に張り付き、各楽器のセパレーションも大幅に減じてしまう印象を持ちました。
上位にはV5 SIGMASがあります。
SIGMASは音像だけではなく、背景まで磨き上げる感じて、静かになった背景にリアルな音像が屹立するさまはややストイックな面持ちも有ります。それに対してV5 AQUARIUSは主に音像にまとわりつくノイズを洗い流して、本来の音色、勢い、伸びやかさなどが生き生きと再現さます。
それでは、V5 AQUARIUSを実際に試聴した印象をレポートします。

尾崎一宏(sax)2th『Beyond』の一曲目「You don`t know what love is」
軽快に、歯切れよく、抜けの良い音、明らかにリズムがよく跳ねるようになって、すいすい進んでいきます。もうちょっと、腰の入った演奏だったように思うのですが。
ここはAQUARIUSに挿す電源ケーブルを変更しましょう。
ひとつ上位のEVO3 SEQ20A/1.5m(税込¥73,150)
EVO3 SEQUELに変えると、締まっていた音像が少し面で押してくる印象に代わります。ボリューム感が増し、メリハリも少し強くなって、サックスの角が立つこと、バリバリと噴き上げてくるエネルギー感。十分な迫力を持って迫ってきます。
軽やかさだけでなく、力強さとアグレッシブさを求めるなら電源ケーブルにEVO3 SEQUELを求めるのは良いと思います。

ミイナ・オカベ(Mina Okabe)『ベターデイズ』より「Every Second」
軽やかで、カラフル。ハイファイでギラギラしたものではなく、透明感がありアクリルカラーのようにみずみずしい発色で、音抜けがいいです。よくハイファイな音だと、音色が冷たくなってしまうことがありますが、そういったことがまるでなく、むしろ音のパレットが2段階ぐらい豊富になった感じがします。

立山秋航『ゆるキャン△ オリジナルサウンドトラック』より「キャンプ場のテーマ~本栖湖~」
AQUARIUSなしで聞くと、なんとなく心地よい音楽が流れている感じで、全体にもやがかかって感じられます。
それがV5 AQUARIUSを付けると情景が広がるようで、さまざまな音楽的仕掛けが楽しく感じられます。手作りのようなパーカッションのカンカラという音が小気味いい。それぞれの楽器の特徴がよく表れるので、こういった様々な楽器が使われている音源はことさら楽しめます。
ここで先ほどの電源ケーブルEVO3 SEQUELに付け替えると、音にやや広がりが出てリラックスして聞ける感じがします。もうひとつ上位のEVO3 OPT20A/1.5m(税込¥192,500)に付け替えるとさらに奥行き感が増し、ぐっと深みのある音になりました。全体に音色含めて、音のやわらぐ感じもあります。

ゲヴァントハウス弦楽四重奏団『ベートーヴェン弦楽四重奏全集』より「第15番・5楽章」
SIGMASにつなげて聞くこの音源は、弦楽の音階ごとに弦の倍音成分がみるみるかわっていくのが如実に感じられました。しかしV5 AQUARIUSではそういった面はそれほど感じられません。音の線が明瞭になって、はきはきとわかりやすくなるけれど、さすがにベートーヴェンの後期弦楽四重奏となると、もう少し精妙であってほしい気もします。
これは電源ケーブルをEVO3 SEQUELに付けてもそれほど解消しません。EVO3 OPTIMUMに変えるとそれぞれの音に充実感が出て、やや倍音成分もよく感じられ音楽が豊かに聞こえます。
お伝えし忘れていましたがV5 AQUARIUSの足は、付属のものからアップグレード品のスパイクに変更して視聴しています。
ISOTEK M6 SPIKE SHOE UPGRADE KIT(商品ページ)
もともと付いているゴム足に戻すと、音色はやや灰色がかって、AQUARIUSの最良の点であるみずみずしさが十二分に発揮されません。このスパイクは付けてほしいです。
〈まとめ〉
ISOTEKのV5 AQUARIUSは徹底的に効くSIGMASと比べると、確かにそこまで突き詰めた感じではないですが、スピーカーからするすると出てくるカラフルな音は極めて魅力的で、SIGMASの廉価版などではなく、また違った個性を与えられた完成されたコンポーネントだと感じました。
機器をつないで馴染ませるごとに音の良くなる面があり、つないでから一ヶ月ぐらいは様子を見てもらえればと思います。店頭でも徐々に音の表面のきめが細かくなっていくように思えました。
ISOTEK V5 AQUARIUS 商品ページ⇒(SILVER)&(BLACK)
